スペシャル対談スポーツ経験者が
活躍できる仕事とは?

キンライサー
代表取締役社長森崇伸
日本フェンシング協会
前会長太田雄貴氏

キンライサーの社員、特に施工スタッフの方にはスポーツを経験されてきた方がたくさん働いており、実際にかなりの活躍をされています。
フェンシングで日本人初のオリンピック銀メダリスト・世界選手権金メダリストとなった日本フェンシング協会前会長の太田雄貴氏と、キンライサー代表取締役社長の森崇伸が「スポーツ経験者が活躍できる仕事とは?」というテーマで対談をいたしました。ここに対談内容を掲載させていただきます。

勝てる場所を正しく選ぶということ。そのためには負ける体験も重要です。

森崇伸(以下、森)太田さんがフェンシングと関わられたきっかけは何だったのですか?

太田雄貴(以下、太田)私は子供の頃は色々とスポーツをやっていました。3,000人程度の人口の少ない町に住んでいたので、スポーツ全般で何をやっても大体1位になれました。でも、陸上で市の大会に進んだ瞬間に、順位が一気に真ん中ぐらいまで落ちたんです。

ここで学んだのは「勝負する場所を間違えない」っていうことですね。

小学生時代にそれを考えて、そこからは疑いもなくフェンシングにコミットすることにしました。この時に負ける体験ができたのが本当によかったと思っています。

小学校の時は野球を真剣にやっていました。毎朝5時半に起きて1時間走ってましたよ。少年野球に入っていたのですが、そこではそこそこ活躍していたんです。
でも、中学校に入ったら自分よりも明らかに体格が良い人ばかり入ってくるようになって。それで絶対勝てないと思って、中学2年生でプロになることは諦めました。

太田森社長も中学校で野球では敵わないという体験をされて、やがてビジネスの世界にのめりこんでいったわけですし、そういう点ではお互いが似ていますよね。

そうなんですよ。自分が活躍できる環境を選んで勝負をするということ、太田さんは小学生時代にその大切さにお気付きになられたんですね。

太田元々クラスで一番足が早くて、学年でも早くて、市から県、そして全国で活躍できるようになった。そういう人達は、負ける経験はあまりしていないかもしれませんが、自分が勝てる場所を正しく選ぶことができたからこそ、結果的に今その場所にいるんだと思います。

陸上の短距離では、若い人達の活躍が目覚ましいですよね。あれは何か変化があったのですか?

太田リレーが特に良い結果を出していますね。海外選手は個人競技が中心なのですが、日本はリレーに力を入れており、さらにバトンパスの技術がとても上手く、それがプラスとなって勝てているのではと思います。これはチームワークや細かい技術の部分を大切にするという、日本の国民性にも合っていることのように感じます。日本として勝てる場所を選択したらこうなったという点では、個人競技だけでなく団体競技にも共通点がありますね。

なるほど。それは会社の組織作りの参考になりますね。

森崇伸×太田雄貴氏 スペシャル対談

長く続く組織というのは、異なる業界からも多くのことを学び、それを吸収していける組織です。

太田森社長は、これからどんな組織を作ろうと思っているんですか?

長く続く組織を作りたいと思っています。10年後に無くなっているような組織では意味がありません。私達の今のビジネスの中核である給湯器というのは、お客様が一度使ったら10年はなかなか壊れないものなんです。だから10年後には、もう一度キンライサーを使っていただきたいと思っています。いつまでもお客様に必要とされるような長く続く組織を、少しずつ成長させていきたいですね。

また、長く続けていくためには、業界や業種を超えて日ごろ関わりのない分野の人達も、仲間に入れていきたいと思っています。自分が知っている分野の人達だけを集めても、どうしても視野が狭くなりますし、常に熾烈な競争に立たされているビジネス界では、自分たちが今まで知らなかったノウハウを吸収しながら成長させていくことが大切だと思っています。

フェンシング協会でも多様な人がご活躍されていると思いますが、そういうことを意識されているのでしょうか?

太田私達も同じですよ。そもそも営利団体ではありませんし、お金のためではないところに価値観を置いて働いている人も多くいます。だから、コミュニティーの価値を上げていくことを常に意識しているんです。それは会社の価値にも近いものだと思います。時価総額のような定量的な価値ではなくて、大事なのは「あの協会で働いてみたい」という共感です。

非営利団体である私達が最も大切にしているところは「この協会だったら無給でも理事をやってみたい」と思っていただくことにあります(注:協会の理事職は原則無給と定款で定められている)。
だから、フェンシング協会で働く人達が何を学べるのか、その体験をどうやって作っていくのか、ということを特に意識しています。

私達の協会では、既に何らかのビジネスに携わりながら副業や兼業という形で働いている人たちもいるのですが、通常のビジネスでは得られにくい経験、たとえば「大会を作る経験」「選手をマネジメントする経験」みたいなものは、この協会だからこそ体験できることなのです。

一つの企業だけですべての業務を体験することは難しいことで、他の世界を見ることで本業でも成長できる。日本フェンシング協会は、そういった機会が提供できる場所にしていきたいと考えています。

森崇伸×太田雄貴氏 スペシャル対談2

アスリートは、こつこつ努力をしながらも、たまにはホームランを求められる仕事。いざという時のために、努力を重ねることが大切です。

スポーツ経験者が仕事で活かせる強みや性格というのは、どんなところでしょうか?

太田まず、スポーツ経験者と言っても、色々な人がいますからね。本人次第でも違いますし、また競技の傾向でも結構変わってきますからね。

努力タイプとか才能タイプみたいな違いですか?

太田そうですね。才能タイプの人に努力が合わされば本当に強いのですが、通常の仕事においては才能よりも努力をしていくことの方が活躍しやすいと思っています。その努力の質という意味で、特に大切なのは瞬発性よりも継続性の方ですね。毎日練習することをそもそも苦痛に思っていない人の方が強いです。毎日きついと思いながら練習していると、人のモチベーションはすぐに途切れてしまいます。努力していること自体を何とも思っていない人ほど、途中で折れないんですね。そういう人はビジネスの場でも活躍しやすいです。

確かにビジネスでもそういうところが大切ですよね。仕事を苦とせず、毎日少しずつ何かを前向きに吸収していくようなところ。キンライサーの施工スタッフも、少しずつ地道に技術を身に着けていく。3年ぐらいコツコツと施工を続けていって、やがてプロフェッショナルになっていく、そういう仕事の特徴がありますから。

太田成績にムラがなくてコツコツできるっていうことも大事なんですが、アスリートにはたまにホームランを打つことも求められるんです。その人の活躍がフォーカスされる時っていうのは、そういう時が多い気がします。

それは会社員でも同じかもしれないですね。たとえば営業マンでも、まずまずの成績が長く続いていたような人がいて、でもある時急に開眼したりする。そういう時は大概仕事においてもホームランを打っていて、その成功体験をきっかけに後の成績も伸びていくような場面は多くありますね。

でも、そのホームランを打つためにも、たとえば「あの時は、あのように答えておいたほうが良かったな」みたいな振り返りを日常的にやっていたりする人が、その結果としてホームランを打っているんです。そういう一歩一歩の前進が日頃の自然な行動に出ていたりして、それが大きな成果にも繋がるんだと思います。

太田普段から練習計画、しかも具体的な計画を立てている人こそいざという時に成果が出しやすいと思っています。これはビジネスの場においても同じではないでしょうか。

それと、一口に「アスリート」といっても、その中には多岐にわたるタイプの人たちがいますので、一概に決めつけられないんです。個人の性格の違いもあれば、競技特性にも左右されます。結局は、その人にあった練習環境やメニューも必要ですし、それを見極められると成長するのも早くなります。

森崇伸×太田雄貴氏 スペシャル対談3

モチベーションを保つコツは、自分の年齢や成長に応じて「なぜ、このスポーツをやっているのか?」と常に自分と対話することです。

継続性と言葉にするのは簡単ですが、アスリートの方々は実際にどのようにモチベーションを保っているんですか?

太田私の場合は、年齢によって変わっていったところが大きいですね。20代前半は経済的に豊かにになりたい、有名になりたいといった欲求が強く出ていました。でも、ある一定のレベルに達した瞬間、そういう欲求はどうでもよくなっていきました。

仮にもう1回メダル獲ったとしても、その後の自分の人生って変わっていくんだろうか?と思うようになったんです。そうすると、「なぜ、このスポーツをやっているのか」という理念的なところに立ち返り、よく考えるようになりました。

それは会社員でも同じだと思います。「なぜ、この会社で働いているのだろうか?なぜ、この仕事をしているのだろうか?」という考え方です。各々その答えは違うとは思いますが、そのように自分との対話ができている人達は、年を追う毎に違うモチベーションを見出しながら成長していると思います。

毎日ハードな練習をしながらモチベーションを保てるのは、やはり素晴らしいことですよね。それは会社員でも大切なことだと思います。そういう心の持ち方を、異業種とも言えるアスリートの方々からも是非教えてもらいたいですよね。

太田業界が変われば常識も変わる。常識が変われば、すごく学びが多い。これはアスリートとビジネスという話だけでなく、経営者と会社員の関係など、働く人の目的や役割によってもその常識や考え方は全然異なります。

異なる価値観を抱えた者同士の場合、お互いの対話や歩み寄りが何より大事で、それができていなければ組織が分断してしまう。分断が起こらないように対話を重ねるということが、組織を長く続けさせるポイントなのではないでしょうか。

私達もいろいろな業界から、多くの人達を受けいれています。ちなみに、今度現役のアスリート選手を社員として受け入れることにしました。

太田キンライサーさんの場合は、社内でも経験を積みながら、引退後はキンライサーの社員としても続けられそうですし、もし独立したとしてもそのまま活躍していけそうなイメージはありますね。

また、会社がアスリート採用をする時に意識しなければならないのが「会社として何をアスリートに求めるのかを可視化する」ことだと思っています。選手が優勝したとしても、会社の売上が直接的に上がるわけではありませんから。それこそ優勝してもらって、メディアに取り上げてもらって、一緒に会社の知名度が上がって、というパターンをイメージする会社は多いのですが、実際はそんなに上手く進むことは稀です。

そういうことも踏まえながら、アスリートが何をしたらこの会社は喜んでくれるのか?ということを本人にしっかり伝える。社員のモチベーション向上を促すことが目的なのか、社外に向けてPRしていくことなのか、会社の要望と本人の意思を上手く合わせていくことが大切です。

いただいたお話も「なぜ、自分はこの会社で働いているのか?」ということを本人が深く考えるために、その材料を会社側が提供するというとことでもありますね。肝に銘じます。

森崇伸×太田雄貴氏 スペシャル対談4

スポーツ界で活躍している人は、サービス精神が旺盛な人が多い。そのサービス精神があれば、ビジネスでも活躍できるはずです。

太田特にトップ選手ほど、サービス精神が旺盛な人が多い傾向にあります。そのサービス精神をどこに持っていくか、が大切です。

活躍している人ほど、サービス精神が旺盛というのは分かる気がします。私達もお客様のご自宅に訪問するというサービスですから、施工スタッフでも接客業である部分が非常に大きいと思います。なので、お客様の疑問点に答えたり、操作方法を分かりやすく解説したりもします。そういうこともあり、サービス精神がある人ほど良い結果を出しやすい環境です。

太田選手の場合も、サービス精神が旺盛な人というのは、応援してくれている人、つまりファンが多いんですね。サインの要求にも喜んで応えたり、応援に来てくれた人にしっかりありがとうを言えるような人は、その相手がどういうことをしたら喜んでくれるかを常に考えていますね。

私は施工のスタッフもお客様のファンが付くぐらいで良いと思っているんです。もう一度あの人にお願いしたいと思われるぐらいのサービスを提供できていれば、個人・会社共に成長していけます。また、ファンが付くような人は、一緒に働く仲間からの人望も厚いと思っています。その人が独立したとしても、この人と一緒に働きたいって付いていくような流れは、私達の業界には多いことですから。そういう感謝のサイクルのような流れを作っていくことが、私達は大切だと思っています。

太田以前、私が給湯器交換をした時は、本当に施工して下さった方に感謝しましたね。しばらくの間は水のシャワーを浴びていましたから。(笑)

それは太田さんだから出来るんでしょう。(笑)

太田妻と娘は耐えられなくて銭湯に通ってましたからね。
冗談はさておき、給湯器というのは、現代においても変わらず存続し続けるインフラですから。そういうインフラにビジネスの主領域があるのはものすごく素晴らしいことで、さらにライフラインだからこそ感謝もされるはずです。

人との関わりが希薄な今だからこそ、施工スタッフの方々は人としての暖かさを感じられる機会を提供できるはずです。

森崇伸×太田雄貴氏 スペシャル対談5

キンライサーは、女性が活躍しやすい環境や、年齢に関わらず巻き返しができる環境を意識して会社を作っていきます。

太田暖かさがある会社という意味では、キンライサーは女性も働きやすい環境だと思います。

本社の社員は既に半分以上を女性が占めていますし、施工スタッフにおいても女性がお客様のご自宅に訪問すると喜ばれることも多いんです。特に男性と女性がセットで施工に行くと、家の中に入る仕事、たとえばリモコンを設置したりお客様に説明したりするといった仕事は女性が担当して、給湯器の設置などは外で男性が担当するという分担、こういう状態がお客様にも満足していただけますし、チームワークという上でも適材適所で力が発揮できることに繋がります。

太田キンライサーさんの施工スタッフは、女性アスリートのキャリア形成の場にもなりそうですね。30歳まで現役でやっていても、そこからいくらでも働けるとなれば20代の内は迷いなくスポーツに打ち込めます。

そもそもスポーツ選手というのは、企業が新卒教育を行う時期を逃していることが多いんです。20代後半まで現役をやっている人の場合、若手と呼ばれる間に会社員としての経験ができなかったりします。30歳ぐらいからでも巻き返しできるような環境があれば、アスリートにとっても有意義なことでしょうね。

キンライサーの施工スタッフは、巻き返しが効きやすい仕事だと思っています。なぜなら、30~40歳ぐらいで異業種から転職してきた人にも3年間はじっくりと時間をかけて仕事を覚えてもらい、現場での経験を積みながら一人前にしていきます。その後は会社員として勤務し続けても良いですし、独立してもっと収入が得られるようなキャリアパスも設計しています。

太田じっくり教えてもらえる環境というのは、とても良いですね。アスリートの世界でも「準備不足は失敗の準備」という言葉が良く使われます。準備不足で行くと試合本番の時に不備が出てしまう。試合に出る以上はしっかり準備して心をこめて試合をするということが大事ですから。

アスリートというまったく違う業界のように見えて、私達の仕事にも通ずる点が多く見えてきました。準備不足にならないようにすること、それ自体が私達のサービスレベル、つまりお客様にご満足いただけるかに直結していきます。

スポーツで培われるような、コツコツ努力をしていくこと、人にサービスをしていくこと、そういうマインドを持った人が年齢に関わらず巻き返しができる仕事環境を、キンライサーでは作っていきたいですね。

森崇伸×太田雄貴氏 スペシャル対談6

対談者プロフィール

  • 森崇伸 株式会社キンライサー 代表取締役社長

    森崇伸株式会社キンライサー 代表取締役社長

    1974年、群馬県生まれ。
    高校卒業後、車の整備士を経て、給湯器の施工会社に入社。23歳で前進となる近畿ライフサービスを起業。インターネットを使った給湯器販売のパイオニアとなり、2019年8月にキンライサーに社名を変更。2020年8月には、本社所在地を神奈川・新横浜から、東京・虎ノ門に移転している。

  • 太田雄貴 国際フェンシング連盟 副会長 公益社団法人 日本フェンシング協会 前会長

    太田雄貴国際フェンシング連盟 副会長
    公益社団法人 日本フェンシング協会 前会長

    2008年 北京オリンピックフェンシング男子フルーレ個人に出場、日本フェンシング史上初の銀メダルを獲得。2012年 ロンドンオリンピックでは、団体で銀メダルを獲得。フェンシングの普及活動に力を注ぐ傍ら、“子どもたちに夢を与える”などをテーマに講演活動も行っている。

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